卵巣機能が落ちている“腎虚”、血液の流れがよくない “?血”、子宮内膜症の人は、このふたつの状態がベースにあります。東洋医学では漢方薬と鍼灸で、これらを改善していきます。
漢方では活血剤や補腎薬などで足りないものを補っていき、ツボを刺激して気の流れをよくするのが鍼灸の役目です。
そもそも気と血というのは、常に体の中を流動しているものですから、気を流すと自律神経が安定してきますし、それによって血管が広がり、血の巡りもよくなります。
そういった血のめぐり、気のめぐりをよくすることが鍼灸の大きな特長。西洋医学的にいうと自律神経のバランスをととのえる、あるいはエネルギーのバランスをととのえるということになりますが、子宮内膜症でお悩みの人には積極的に取り入れていただきたい治療法です。
例えば、ひざ頭の上にある“血海(けっかい)”や、内くるぶしの上の“三陰交(さんいんこう)”、足の親指と人差し指の股のつけ根にある“大衝(たいしょう)”など、血のめぐりをよくするツボを複数選び、それらのツボを組み合わせたり、単独で刺激を強くしたりして刺激量をふやすことで、活血の力を保ちます。
通常の不妊の人なら、腎虚と?血を5:5のところを、子宮内膜症の方の場合は腎虚を3、?血を7など、?血に重きをおいて治療していきます。
ツボ刺激をしたあとはさらに、遠赤外線の治療器を体にあてて皮膚の下奥深くの毛細血管をあたため流れをよくすることで、さらに子宮や卵巣の血流をよくします。
子宮内膜症の改善を高めるためには、鍼灸治療は1週間に1回、赤外線はできれば毎日、実践してほしいですね。
セルフで温灸をするのも効果的です。自宅で三陰交などを専用の温灸器であたためる、あるいは指で押して指圧するのもよいでしょう。リラックスした時間に夫婦でするのもおすすめですね。
子宮内膜症の人の場合、体外受精や顕微授精を選ぶことが多いと思いますが、採卵した卵を子宮に戻す場合、その戻す日に鍼灸治療をする、また移植した数日後、着床のころに鍼灸治療をすることで着床率や妊娠率が上がるというデータがあります。今後、体外受精や顕微授精を考えている人は、そういった形で鍼灸治療を取り入れてもらえると、さらに妊娠という夢が近づくのではないかと思います。
病院治療と異なり、鍼灸はいつから始めても大丈夫。子宮内膜症の改善や妊娠の実現は、ふだんの体質が作り上げるものですから、鍼灸や漢方といった治療に加えて、食事や生活リズム、ストエスコントロール、冷えなどの生活改善もとても重要な要素になります。
そういったことも、ぜひ知っておいてほしいですね。