先日、地元の漢方薬局で漢方を服用されているというIさん(41才)が見えました。
Iさんが不妊治療を始めたのは今年の1月のこと。病院治療でタイミング法、人工授精、転院の末、顕微授精に2回トライするも妊娠には至らず。治療を続けながら漢方も飲まれていたそうですが、このたび当院のHPを見つけていただき「漢方と鍼灸両方というので、ちょっと話が聞いてみたくて」と扉を叩いてくださいました。
ありがたいことに、こんなふうに漢方と鍼灸を併用して不妊治療することに興味を持って来てくださる方はとても多いです。
では漢方と鍼灸の両方を使うことで、どんなメリットがあるのでしょうか。
そもそも漢方と鍼灸は得意分野が違います。
具体的には漢方は“血”。これは血液ではなく、少ないものをふやすとか、低下した機能を回復させるとか、そういった役割があります。不妊の場合だと、貧血状態を改善させる、卵巣機能の低下を高める、そういった治療が得意ということですね。
鍼灸は“気”の調節が得意分野。気は目に見えませんが、神経のバランスや自律神経をととのえる大切な働きを担っています。心機能や腎機能など体の機能もすべてひっくるめて気。鍼灸で気の流れをととのえることで、ホルモンバランスや免疫機能を向上させ、妊娠力を高めていきます。
Iさんのようすをみせていただくと、生命力や生殖の力などをコントロールする“腎”の力が落ちていることがわかりました。血の質と流れもよくない状態。でも、これは病気ではなく、あくまでも体の特徴です。この特徴をこれから漢方と鍼灸、そして生活の中身を気をつけることで“妊娠できる体づくり”に変えていきましょうとお話ししました。
漢方と鍼灸を併用する最大のメリットは、漢方と鍼灸それぞれの特徴を合わせて治療をすることで効率が上がり、相乗効果が得られるということです。また当院のように漢方薬局と鍼灸院を併設している場合、同じ方針で治療を進められるというメリットもあります。
もちろん漢方だけ、鍼灸だけ、という患者さんもおられますので、それは患者さんのご希望に合わせて行っています。鍼灸は週に1度のペースで通っていただき、漢方は2週間か1カ月ごとにようすを伺います。
そういった説明をお聞きになったIさん。さっそく漢方と鍼灸の治療をスタートさせることになりました。