体重と妊娠のしやすさは、実はとても深い関係にあり、標準体重が20%を超えると排卵に影響が出るといわれます。太っていると排卵しにくくなるというのは医学的にもわかっていることなのです。
標準体重というのは、身長(m)×身長(m)×22で算出できます。
たとえば身長160cmの人なら、1.6×1.6×22=56kgが標準体重になります。この数字より20%オーバーしている人は要注意ですね。
なぜ肥満は妊娠しにくいのか。それは、脂肪がホルモンの材料になるからです。ホルモンの材料も適度にあればいいけれど、多すぎるとアンバランスが生まれてしまう。アンバランスが生じることで、結果的に排卵にも影響が出てくるわけです。
また脂肪は体の中の温度を一定に保つので、おなかが冷えていると、その冷えた状態を保ち、結局その冷えが血行不良につながり、排卵に影響を及ぼします。さらに脂肪そのものが卵巣のまわりにくっつくことで、卵巣機能の働きを下げてしまうこともあります。
東洋医学的にも脂肪というのは“痰湿(たんしつ)”といわれる病理産物のひとつです。痰湿というのは、体をめぐる水が滞った余分な水分のこと。余分な水分は体を冷やすので、やっぱり脂肪は冷えにつながりますし、その痰湿が卵巣に入り込むことで卵の成長も阻害してしまう。そういうことからも排卵が起こりにくくなり、妊娠にも影響するのです。標準体重を超えている人、あるいはそれに近い方は、ぜひウエイトコントロールをしてほしいですね。
ウエイトコントロールの基本は、食べて入ってくるカロリーと運動して出て行くカロリーを調整すること。いっしょなら体重はずっと同じですから、体重を減らしたいなら、出て行くカロリーが多くなるように傾けてあげる。運動をするのか、食事を減らすのか……、やはりいちばん効率がいいのは、両方するということですよね。
といっても、食事についてもただ食べてはいけないということでなく、食べるバランスを考えれば、いままでと同じか多少すくなくするぐらいでダイエット効果が出ます。ポイントは、ごはんやパン、うどん、イモ類、お菓子類など炭水化物を控えめにして、たんぱく質や野菜、海藻類、きのこ類をたっぷり食べること。そうすると、おなかは満足するし、脂肪も落ちやすくなります。たんぱく質を摂ると代謝も高まるので、できたら魚介を中心に、お肉なら赤身やささみ、ヒレ肉などをたくさん食べましょう。
運動はジョギングやウォーキングなどの有酸素運動とストレッチなどの無酸素運動を組み合わせて。運動すると太りにくくなりますので、ぜひ両方取り入れて、妊娠しやすい体作りを目指しましょう。