東洋医学の“体質”って、どんなもの?
漢方や鍼灸の治療は、舌をみたり、脈をはかったりして、まずはそれぞれの“体質”を判別することから始まります。
東洋医学でよく聞く、この“体質”とは、いったいどういうものなのでしょうか。それはざっくりいうと体の特徴のこと。
わたしたちひとりひとり顔かたちが違うように、みんなそれぞれ体のクセのようなものを持っているということです。
その体質をみるものさしは、いくつもありますが、そのひとつに“八鋼弁証(はっこうべんしょう)”があります。これは表裏、陰陽、寒熱、虚実という8つの対立概念に分けて、体をみる方法。
表裏というのは体の表のほうにゆがみがあるのか、あるいは奥のほうにあるのか……、表にあるのは病気でいっても軽い状態。裏の深いところにあるのは、だんだんと重くなっていく状態ですね。また体が冷えているのか、あたたかいのかというのは寒熱で分類されますが、お年寄りのようにエネルギーがつくれなくて寒くなる、更年期障害のように体がほてってのぼせるなど、症状もいろいろ。虚と実というのは簡単にいうと栄養物、水分、力があるのかないのか。これらをトータルで見て、陰の病気なのか、陽の病気なのかを分類していきます。その分類した結果が体質なのです。
“八鋼弁証”以外に“臓腑弁証(ぞうふべんしょう)”や“気血津液弁証(しんえきべんしょう)”なども、不妊の人に対して使うものさしとして代表的なものです。
臓腑弁証というのは、肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓の五臓に、胆嚢、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦の六腑が対応する、五臓六腑のどこに障害があるかを見つけるもの。たとえば五臓のひとつである肝臓は、自律神経をコントロールして、目に栄養をおくる働きがありますが、反対に目がしょぼしょぼして自律神経に乱れのある症状があった場合は、肝が悪いという体質になるわけです。
さらに津液弁証は血の何がよくないかを見極める方法ですが、血流の悪い“?血(おけつ)”の状態になると、舌が紫色になっていたり、舌の裏の静脈が黒ずんで太くなっていたりします。
不妊の人の体質としては、この臓腑の中の腎が虚している“腎虚”で“?血”という人が多い。反対に妊娠しやすい人は腎の働きが充実していて、血の巡りのいい人。不妊の人は、いかにこの体質に近づけていくかということを考えていかなければいけません。
体質というのは、生活スタイルで変わっていくもの。
いまの体質は生まれてから今日までの生活スタイルでできあがってきたものです。ですから、これからその体質を改善しようとするなら、毎日の生活スタイルをいままでは違うものに変えていくことが必要なのです。