子宮内膜症発症のメカニズムは、まだはっきりと解明されているわけではありません。
しかし、働く女性が増えてきたと同時に子宮内膜症も増えてきている為、ストレスや欧米風の食生活がその一因として考えられています。
ここではストレスがどのように子宮内膜症と関係するのか?
子宮内膜症発症や悪化とどう関係するのか?を調べていきたいと思います。
1.子宮内膜症とストレスの関係
そもそもストレスってなんでしょうか?
厚生労働省によると、『ストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態の事』で、嬉しい事も悲しい事もストレスの原因となるそうです。
ストレスがかかった状態は
自律神経バランスの乱れをひきおこす
交感神経優位になる
血管が縮む
体全体の血行悪化
代謝低下
免疫力低下
などの症状が引き起こされます。
これらの症状の動きについて詳しくみていきましょう。
2. 自律神経の乱れとは?
ストレスがきっかけとなり、最も体に影響を与える作用は「自律神経バランスの乱れ」です。
自律神経は、交感神経と副交感神経の二つの神経から成ります。
交感神経は、日中活動している時や緊張やストレスを感じている時に活発に働きます。
副交感神経は、夜眠っている時やリラックスしている時に活発になります。
これらがバランス良く交互に働いて健康を維持しています。
ストレスが溜まると交感神経の働きが優位となり、体は常にストレスを受け続けている、緊張が続いたような状態となります。
そうすると、副交感神経が活発になる機会が少なくなってしまいます。
このバランスの乱れは、全身のあらゆる器官や機能の働きに影響を与えます。
血管の収縮もその影響のうちの一つです。
ストレスにより常に血管が収縮した状態になってしまうと、体全体の血行悪化につながります。
また自律神経バランスの乱れは、ホルモン分泌にも深く関わってきます。
ホルモン分泌の異常や乱れは、代謝低下、免疫力低下を招き、常に疲れやだるさを感じるようになってしまいます。
常に疲れる状態が続くと、それが更にストレスとなり悪循環が始まってしまう可能性もあります。
3. 自律神経バランスの乱れと子宮内膜症
それでは何故ストレスは子宮内膜症発症、悪化の要因のひとつと言われているのでしょうか?
それは自律神経が乱れたことにより発生する様々な身体作用から起因する症状から考えられます。
まずは、子宮内膜症発症や悪化のメカニズムについて調べていきましょう。
日本産婦人科学会のカンファレンス資料によると、子宮内膜症の発症には環境要因、遺伝的要因、腹腔内環境異常、免疫力低下、子宮内膜の遺伝子変化などが考えられそうです。
そのなかでも、免疫力低下と環境要因について詳しくみていきましょう。
免疫力低下が与える影響
先のカンファレンス資料では、「子宮内膜症組織に存在する、さまざまな免疫担当細胞が産出する情報伝達タンパク質には、局所の炎症形成に関するもの、子宮内膜症細胞の増殖を促進するものが存在することがわかってきた」とあります。
これらの発表から、自律神経が乱れて免疫力が低下すると、この情報伝達タンパク質が増産され子宮内膜症が悪化する可能性も否定できないでしょう。
環境要因が与える影響
近年メタボリックシンドロームは生活習慣病とも言われています。
ストレスや喫煙飲酒、運動不足などの生活習慣が様々な病気の要因であることは広く認知され重要視されてきています。
このメタボリックシンドロームに関わる物質で、アディポネクチンがあります。
アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌される蛋白で、脂肪の多い人の血液中では減少することが確認されています。
最近の研究ではこのアディポネクチンは、子宮内膜の炎症を抑制する作用がある事を示す結果が出ています。
しかし、子宮内膜症患者の血液中や腹腔貯留液の中でこのアディポネクチン量は低下しているそうです。
アディポネクチンは生活習慣の影響を受け増減します。
生活習慣からくるストレスはなるべく上手く対処して自律神経バランスを整え、このアディポネクチンを増加させたいですね。
参考資料
『日本産婦人科学会:クリニカルカンファレンス4.内分泌学の進歩
3)子宮内無く症発症の機序を探る』
http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6009-257.pdf
4. まとめ
子宮内膜症にストレスが良くない事はわかりましたが、現代社会でストレスと無縁の生活を送ることは不可能に等しいでしょう。
しかし漢方で気の流れを整えることで自律神経バランスの乱れを予防、改善することも可能なのです。
主治医と相談の上、通常のホルモン治療に加えて、そういった漢方の服用も検討してみてはいかがでしょうか?