今回は私にとっては2回目の養成講座受講になったが、前回とは違う視点から考えることができてとても有意義なものとなった。
最初は荒木重雄先生。先生は生殖医療の最新情報をいくつか伝えてくださった。その中で一番印象に残ったのは「非主席卵胞は自然周期において、成熟卵子を得るための確かな供給源になると思われる」というもにだった。非主席卵胞と主席卵胞のどちらからも成熟卵が採取され、生児出産も得られた。非主席卵胞の穿刺による採卵の成功率と生児出産は卵巣予備能と正の相関を示したが主席卵胞の穿刺の結果には依存しなかったという。これが分かったことで採卵のし方が変わってくるのでないかと感じた。
2人目は岡田弘先生による勃起障害と射精障害に関するものだった。私が驚いたのは膣内射精障害が日本人特有のものであるということ。日本人がいかにメンタル面で左右されやすいかということなのだということだ。岡田先生の講演では普段あまり聞くことのなかった神経因性射精障害について知れたのも良かった。主に脊髄損傷患者に起こるものだが知識としては知っておくべきことの一つだ。
大橋一友先生は「不妊治療の最初に必要なスクリーニング検査と確認事項」として喫煙や飲酒の危険性や体重管理などについて話してくださった。いずれにしても妊娠する前から気を付けていることが児への安全性につながるのだということがよく分かった。
カゴメの相澤宏一先生はカルテノイド(特にリコピン)の精子に対する作用についての研究を話してくださった。リコピンをある程度摂取することでリコピンが活性酸素を除去し造精や精子無力症に対して改善性が示唆されたとのことだったが、活性酸素を除去するということは精子だけでなく卵子にも良い結果を及ぼすのではないかと考えた。
藤原敏博先生による「黄体機能不全」では、黄体機能不全と黄体補充の必要性についてだった。私が驚いたのは「黄体機能不全と診断されたケースにおいて黄体賦活化療法、あるいは黄体補充療法を行っても自然排卵周期では有用性は示されていない。」ということだった。黄体機能不全の患者に対しては黄体機能異常を起こす疾患があることを疑うことも必要だが、特にその原因の分からない黄体機能不全に対しては私達鍼灸師ができることは大きいのではないかと感じた。
今回の養成講座で学んだことは多々あったが、特に考えさせられたことが二つあった。一つは医療が次々に変わっていく中で最新の情報を取り入れていく重要さ。二つ目に、川島由紀子先生の話し「妊娠中から子供が二歳になるまでの栄養環境が将来の子供の健康状態に影響を与える可能性が懸念されている」ということからも、妊娠前からの喫煙、飲酒、体重管理、検査、その他栄養管理の必要性を私たちが正しい知識を持って患者に伝えていかなければならないと感じた。これらを踏まえてこれからの鍼灸施術・カウンセリングに生かしていけたらと思っている。
鍼灸師 小林