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子宮内膜症と卵子の質

妊娠には質の良い卵子と元気な精子が必要です。妊娠を継続する子宮内の環境も大切ですが、一番は卵子を作り出す卵巣の働きが最も重要となります。受精をする場合には卵子の質も大きく関わってくるので、質が悪い場合には不妊の原因となります。

卵子の質が悪くなる原因因子は主に加齢が一般的ですが、他に卵巣機能の低下や低体温でも免疫力の低下を招くので卵子の質の悪化に繋がることが指摘されてきました。しかし、高齢でなおかつ子宮内膜症を患っている場合は健康な女性より卵子の質が下がる原因を持っているわけですから注意が必要です。

1.卵子の質とは?
女性の妊娠できる力は20歳代前半がピークであり、20代後半から徐々に衰え始め、30代後半で急速に低下します。不妊症治療の成績を左右する最も重要な因子が年齢です。

女性は100~200万個の卵子を持って生まれてきますが、精子と異なり卵子は新しく作られることはありません。年齢に伴い徐々に数が減っていき、初潮の頃には30万個、妊娠できる時期には10~30万個、37~38歳で減少が加速し、50歳前後で閉経を迎えこの時の卵子数は1000個前後といわれます。

加齢に伴い数が減っていくとともに、卵子は排卵されるまでの非常に長い期間、卵巣内で様々なストレスを受け続けるため、下のような問題が生じ、質の低下が起こります。

1)卵子の減数分裂がうまくいかなくなり、染色体異常の卵子が増える
2)卵子細胞質でのミトコンドリア機能低下し、 エネルギー産生が低下し発育不良に
3)卵子細胞質でのカルシウム放出低下し、受精後の胚発生が悪くなる
4)細胞の老化に関与する染色体末端のテロメアが短縮し、細胞分裂が停止する

2.卵子の質に重要なミトコンドリア
細胞レベルで卵子を成長させるエネルギーとなるのが「ミトコンドリア」です。卵子も細胞ですのでもちろんミトコンドリアは存在しますが、卵子の質を左右するのもミトコンドリアというわけです。

このミトコンドリアの劣化を防ぎ、活性化することで卵子の質を保てる事になりますが、子宮内膜症で卵巣を侵されることによって通常の予定数の排卵を妨げたり、卵子の成長に必要なミトコンドリアの働きを妨げたり減少させたりする事によって受精しにくい質の悪い卵子を作り出してしまう事になってしまいます。

また、チョコレート嚢腫の場合は血流が悪くなった卵巣に古い血液で嚢胞を作り、正常な卵子を侵食していきます。そのせいで卵子の質は低下し、卵子の受精率を低下させるとされています。
癒着により血流が悪くなった場合はチョコレート膿腫により卵子の排出の際に物理的圧迫も考えられ、排卵障害を起こす可能性も指摘されています。

3.卵子の質を上げるには?
私たちの体には元々卵子の質を保とうとする機能が備わっていますが、それが十分に働くことができない環境を私たち自身で作り出していることもあります。内膜症を患っていても卵子の質を高めるためにできる事はないのでしょうか。

①食生活
食生活ではたんぱく質やアミノ酸を積極的に接種すれば身体の熱生産性を高めるので新陳代謝を活性化させ卵子の質には高い影響を与えられます。内臓を冷やす事は昔から健康に良くないとされてきたこともあって、身体全体の血行を良くすれば自然とそれぞれの臓器にも良い影響を与えるので自身でも簡単に行えます。

②運動
普段の生活の中ではなかなか出来ない運動もその一つです。運動を行えば血液の循環が良くなりますし、体温も上昇します。無理な運動は必要ありませんが、有酸素運動を行えば短時間で効果が得られます。また、ミトコンドリアを活性化するのに有効といわれる「インターバルウォーキング」を取り入れてみるのもいいと思います。
※インターバルウォーキングとは?
「ややキツイ」と感じる程度の速歩を3分続けたら、楽に歩ける速さに戻して3分と、これ1日トータル約15分繰り返すだけ。

4.自分でできる事も試してみる!
上記のように、自分でできる事を試してみましょう。
また、科学的治療以外で体にアプローチする方法が存在します。漢方や鍼灸などの東洋医学がそのひとつです。ぜひトライしてみてください。

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