不妊治療のための6大基本検査
病院やクリニックでは不妊の原因を探るために大きく6つの検査を行います。
(1)基礎体温
基礎体温とは、毎朝、目が覚めたらすぐに布団に入ったままの状態で測定した体温のことで、グラフにすると、低音期と高温期の二相性を示します。高温相になるのは、排卵後の黄体から黄体ホルモン(E=エストロゲン)が分泌されて、これが中枢に働くためです。一相性を示す場合、排卵が起きていないと推測されます。基礎体温を観察することにより、排卵が起きているか、卵巣の働きやホルモンバランス等の診断がある程度つきます。
(2)子宮頚管粘液検査(検査時期:排卵期)
子宮頸管粘液を採取して、量や粘り気、結晶形成をみる検査です。排卵期になると粘液の量が増えて粘りが出てきます。顕微鏡にて見るとシダ状の結晶がみえます。この粘液が少ないと精子が子宮に入りにくくなります(子宮頚管粘液不全)
(3)フーナーテスト(検査時期:排卵期)
朝、性行為をした後、病院へ行き頸管粘液を採取したり子宮の中を調べて、精子がいるか、精子が動いているかを調べます。「性交後試験」ともいいます。
(4)子宮卵管造影検査(検査時期:卵胞期)
膣から子宮へカーテルを入れて造影剤を注入し、子宮卵管のX線撮影を行います。簡単に説明しますと「子宮と卵管のレントゲン」です。この検査により子宮の形や卵管の通過性などが分かります。造影剤の流れ具合を観察するために、複数回撮影されます。当日に何枚か撮る場合もあるし、翌日に行う場合もあります。人によっては痛みを伴うこともあります。
(5)超音波検査
エコー(超音波断層装置)を利用して子宮や卵巣の状態、卵胞の発育具合、子宮内膜の厚さなどをみます。
・常時:子宮、卵巣の状態確認
・卵胞期:卵胞経の計測
・排卵期:卵胞経の計測:子宮内膜の計測
・黄体期:卵胞破裂確認(排卵が行われたかの)子宮内膜の計測
婦人科で行うエコーには、次の2通りがありますが、通常は経膣超音波のほうを使用します。
経膣超音波
膣の中ににプロ-プ(超音波を送受信する装置)を入れて見る方式。卵胞の発育状態のチェック、子宮内膜状態のチェックなどで欠かせない検査。通常の一般不妊治療にはこちらのエコーが使用されます。さえぎるものが無いため画像が鮮明で、発育中の卵胞や子宮内膜の厚さなどをチェックするのにはっきり測定が出来るという利点があります。
経腹超音波
お腹にプローブ(超音波を送受信する装置)をあてて見る方式。体外受精の胚移植時に利用する。お腹の皮や脂肪組織を通して見るので画像の鮮明さ劣るが、経膣式に比べ視野が広いため子宮内外の全体像を見るときなどに便利です。こちらのタイプのはものは、尿をためておいたほうが良く見えます。
(6)一般精液検査
精液を採取して精子の数や運動率、奇形率をみます。精子の採取は、手法にて行います。クリニックから容器をもらってきて自宅にて採取して持って行く場合とクリニックにて採取する場合があります。
正常値(WHO) | |
精液量 | 2.0ml以上 |
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精子濃度 | 2000万/ml以上 |
運動率 | 前進する精子が50%以上、又は高速で直進する精子が25%以上 |
正常形態率 | 30%以上 |
奇形率 | 50%未満 |
生存率 | 75%以上 |
白血球数 | 100万/ml以下 |