前回お話しした、冷えと同様に“貧血”も大いに不妊に関係があります。
貧血とは、血液が薄くなった状態。血液というのは車でいうとガソリンですから、ガソリンがエンジンに届かなければ車は走りません。それが体の中で起これば当然ながら、いろいろな臓器に不具合が起こるわけです。
もともと人間は動物の本能として命を守るために、まず脳や心臓、肝臓、腎臓といった大事なところに血液を分配します。命に関わらない卵巣や子宮はあと回しになるため、貧血状態の人はよけい卵巣や子宮など妊娠に必要な臓器に血液がいかなくなってしまいます。特に卵巣や卵胞は、そういった貧血状態に弱く、ダメージを受けやすいため、結果的に卵巣機能や卵子の質も落ちてしまいます。
注意したいのは、知らず知らずのうちに貧血状態が悪化してしまうこと。急になるわけではなく徐々にすすむので、体が貧血状態に慣れてしまい、自覚症状がないことがよくあります。検査をして異常まではいかないけれど、基準値よりは下回っているという人がたくさんいるのです。
元気だから大丈夫と貧血を侮らず、基準値を下回っている人や異常が明確に出ている人は、改善に向けてアクションを起こさなくてはいけません。
その具体的な方法としては、食事と運動をふだんから気をつけるということですね。
貧血の原因のひとつは、材料が入ってこないということ。つまり、もともとたんぱく質や鉄分が不足しているうえに、レトルト食品や砂糖の摂取によって、血液をつくるのに必要なビタミンやミネラルが、体に入る前に消費されてしまうのです。
貧血気味の方の食事を聞いてみると、たんぱく質が少なく、炭水化物が多い傾向にあります。パスタやラーメン、スイーツ、スナックものといった、血液の材料をとらない食文化が、貧血をふやす背景にあるのですね。
運動不足というのも、顕著です。血をつくるのは骨。骨髄というところでつくられるのですが、血はその骨髄に刺激を与えないとつくられません。その刺激を与える、いちばん簡単な方法が運動なのです。
“冷え”のところでもお話したように、運動は有酸素運動と無酸素運動をうまく組み合わせて、とにかく継続してほしいですね。